【ファクトチェック】河野太郎氏と国籍法改正

ファクトチェック
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 今回は、とあるサイトに掲載されていた「河野太郎氏と国籍法改正」の記事について検討してみる。以下はその記事のタイトルである。

では、早速ファクトチェックを始めていこう。

1.「一家揃って中国人だと判明した河野太郎」

 そのような情報は見つけることができなかった。(SNS、個人ブログ、YouTube上の動画などは信頼性に乏しいので情報源として不適格である。)

2.「(河野太郎氏が)二重国籍を実質的に認める「国籍法」の改正を主導し」

 法務省は、(重国籍者による)「国籍の選択」について以下のように説明している。

法務省:国籍の選択について (moj.go.jp)

 「日本の国籍と外国の国籍を有する人(重国籍者)は,一定の期限までにいずれかの国籍を選択する必要があります(国籍法第14条第1項)。 また,この期限を徒過してしまった場合であっても,重国籍者はいずれかの国籍を選択する必要があります。国籍法上,期限内に日本の国籍の選択をしなかったときには,法務大臣は,国籍の選択をすべきことを催告することができるとされており,催告された方は,催告を受けた日から1か月以内に日本の国籍の選択をしなければ,原則としてその期間が経過した時に日本の国籍を失うこととされています」。

 また、法務省は、国籍法改正について以下のように説明している。

法務省:国籍法が改正されました (moj.go.jp)

 (Q1.「今回の法改正によって、どのような点が変わったのですか」という質問に答えて)「1つは、出生後に日本人の親に認知された子の届出による国籍取得(国籍法第3条の国籍取得届)について,改正前の国籍法では,日本人の父から認知されていることに加えて,父母が結婚していることが要件とされていましたが,今回の改正により,父母が結婚していることという要件が削除され,認知がされていることのみで国籍を取得することができるようになったことです。もう1つは,国籍取得の届出に際して,虚偽の届出をした者に対する罰則が設けられたことです」。

 (Q2.「なぜ改正が必要だったのですか」という質問に答えて)「平成20年6月4日,最高裁判所は,「日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子について,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した(準正のあった)場合に限り日本国籍の取得を認めていることによって,認知されたにとどまる子と準正のあった子の間に日本国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,憲法第14条に違反する」との判決を言い渡しました。この判決を受けて,違憲状態を解消するため,父母が婚姻していない子にも届出による日本の国籍の取得を可能とすることなどの改正をしたものです」。

 たしかに、国籍法の改正によって国籍取得の要件(父母の婚姻の有無や認知に関する要件)は緩和されたが、重国籍者が国籍の選択をすべきという点には変わりがない。おそらく国籍法は「(二)重国籍」を認めているわけではないだろう。「20歳に達する以前に重国籍となった場合は22歳に達するまで」に、「20歳に達した後に重国籍となった場合は重国籍となった時から2年以内」に国籍を選択するべきだということが規定されているのだ。そもそも「二重国籍を認める」という箇所の「認める」の意味が不明確ではあるのだが、「認める」というよりかは「(国籍選択の期限まで二重国籍状態の解消を)留保している」と言った方が適切ではないかと思う。

 

 ちなみに、国籍法及び改正国籍法にも問題がないわけではないみたいだ。国籍法の問題点について言及している記事として次のようなものを見つけた。(当然だが、私一人では一部の情報源しか見つけられない。このことに関する記事は他にもあると思うので、みなさんも探してみてください。)

二重国籍、日本に「89万人」 世界は容認、企業に利点|NIKKEI STYLE

・大量の「偽装日本人」が、安全保障を揺るがす | 安全保障 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース (toyokeizai.net)

 また、法務省も次のように説明している。

法務省:国籍法が改正されました (moj.go.jp)

 (「Q3.なぜ罰則が設けられたのですか」という質問に答えて)「今回の改正により,日本人男性と子の間に実際には親子関係がないのに,親子関係があると偽って認知届をし(偽装認知),その認知事項が記載された戸籍謄本を添付書類として国籍法第3条の国籍取得の届出書を法務大臣に提出して不正に日本国籍を取得しようとする事案が発生する懸念があります。そこで,改正法では,虚偽の国籍取得の届出書を提出した者(本人が15歳未満のときは父母などの法定代理人)に対する制裁として,1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する刑罰が設けられました(国籍法第20条)。なお,虚偽の認知届を提出する行為及び虚偽の国籍法第3条の国籍取得届によって不正に取得した国籍証明書を添付して戸籍法第102条の国籍取得届をする行為についても,公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)等により,それぞれ5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます」。

 

 話を戻そう。

 そもそも「主導」の意味が曖昧で不明確である。おそらく、河野氏が「(党内内閣部会下の)国籍に関するプロジェクトチーム」の座長を務めていて(国籍問題のプロジェクトチーム | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org))、氏の「座長試案(座長私案 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org))」も話題になったということを指して「主導」と言っているのだろうか。たしかに、そのような意味では河野氏が主導していたのかもしれないが、河野氏自身は「この国籍法の改正案は、議員が提出した法案ではありません。法務省が作成し、政府が閣議決定した内閣提出の法案です。私が提出したわけではありません」(国籍法の改正について | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org))と述べている。国籍法改正案が内閣提出法案であることは、衆参両議院のホームページにも記載があるのでみなさんも確認しておこう。衆議院:第170回国会閣法第9号 法律案等概要 (shugiin.go.jp)、参議院:国籍法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付):本会議投票結果:参議院 (sangiin.go.jp)

 上記URLの他にも、河野氏は国籍法Q&A その2 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org)で国籍法について述べているのでみなさんも確認してみよう。

3.「(河野太郎氏が)移民1000万人を受け入れる政策を積極的に推進していた」

 そのような情報は見つけることができなかった。「移民1000万人を受け入れる政策」に関する情報もまた乏しかった。

 一応ではあるが、「移民1000万人を受け入れる政策」について取り上げている記事やページはあったので、URLだけ紹介しておこう。なお、今から紹介する情報源には信頼性に乏しいものも含まれている。この点に留意されたい。

あえて、移民について考える | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

移民1000万人計画 – Wikipedia

4.「炎上する騒ぎ」「多くの反対の声」

 これらの表現は曖昧である。「炎上」とはよく聞く言葉ではあるが、その定義や基準は曖昧で不明確である。(信頼性に乏しい情報源ではあるが)日本国籍取得要件の改正法案 ネット上に反発、自民にも懸念: J-CAST ニュース【全文表示】という記事でも「座長試案(座長私案 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org))の炎上」について言及されているが、やはり「炎上」の定義や基準は曖昧である。

 「多くの反対の声」とは一体 “何人” の反対の声なのだろうか?(時と場合にもよるが)何人以上だと「多い」とみなすことができるのだろうか?(「炎上」にも言えることだが)具体的な数字を示さずに「多い」という言葉を何の定義・基準もなく用いる限り、「多い」という表現は主観や恣意の領域を出ない。また、反対の声は ”どこで” 発されたものなのだろうか?世論調査や社会調査から吸い上げられた反対の声とSNSを含めインターネット上で発された反対の声とでは、同じ「反対の声」といえど随分と信頼性・信憑性・厳密性が異なるだろう。

 恣意的な情報収集(サンプル収集)は、世論調査や社会調査や統計でもできるが、(SNSを含め)インターネット上ではより簡単にできる。しかも、より多くの素人がより簡単にできる。上記を例として用いるならば、インターネット上では、検索次第でいくらでも「反対の声」を集めることができる。また、一つの「反対の声」を発見できれば、芋づる方式で連鎖的に類似の「反対の声」へとアクセスできる。この点に関しては、「フィルターバブル」(フィルターバブルとは何? Weblio辞書)という語が端的に説明してくれていると思うので、是非確認して頂きたい。

5.「日本国籍と外国国籍を持つ重国籍者は現在、少なくとも40万~50万人もいると言われています」

 情報源が提示されていない。

 また、「重国籍者」と言っても、国籍選択期限前の重国籍者(20歳未満の重国籍者など)も多分に含まれているはずだ。現行法では、そのような重国籍者は期限を迎えたら日本国籍か他国国籍かを選ぶことになるので、潜在的な非重国籍者であるとも言えるだろう。無論、中には国籍選択に応じない重国籍者もいるだろうが、国籍選択に応じる重国籍者もいるだろう。

6.

 言わずもがなツイートは論拠にならない。SNSを含めインターネットにおける匿名の投稿は情報源として何らの権威も持たない。

 「コロワク」とは「(新型)コロナワクチン」のことであろうが、現時点(2021年9月28日時点)では新型コロナワクチン接種と死亡事例の因果関係は不明または否定的であるとされている。情報源は「10.」で掲載する。

 また、文中に登場する「李家」というものが何か分からないので、ご存じの方はご一報ください。

 そして、引用リツイート内の中国語の箇所だが、恥ずかしながら私は中国語に関する素養がないので読解することができない。もし読解できる方がいればその内容を是非教えていただきたい。翻訳ソフトで翻訳しようとも思ったが、「リンク先(baidu.com~)が安全ではない可能性がある」とのTwitterの指摘があったため、当該リンクには訪問しなかった。

 ちなみに、「河野太郎の秘書は韓国人」の箇所については、(排外主義者 | 衆議院議員 河野太郎公式サイト (taro.org)で河野氏自身が語っている。

7.

 Wikipediaは、情報源を探す上で役に立つサイトなのだが、Wikipedia自体は情報源として引用しないようにしよう。

 ちなみに、ここで提示されている国籍法改正問題 – Wikipediaの「国籍法改正後の偽装認知事件」という項の[6][7][9]はリンク切れであったため、当該事件の記事を閲覧することはできなかった。

8.「これはあくまで摘発された事例ですが、このように国籍法を悪用すれば、いくらでも国籍を偽ることができる上、補助金などを不正に受け取ることもできるわけです」

 矛盾した文である。そもそも「摘発された事例」が存在する時点で「いくらでも国籍を偽ること」はできていない。「摘発された事例」の存在は、「いくらでも国籍を偽ること」ができていないことの証左である。

 また、「摘発された事例」に言及するのであれば、その事例と共に「日本における偽装認知の摘発件数」や「国籍選択者数」などのデータを提示した方が良いだろう。

9.「このように河野太郎は、中国人が日本を乗っ取りやすいように、どこまでも大きく貢献してきたというわけです」

 そのような情報は見つけることができなかった。

10.「つまり、コロナワクチンなどで日本人を大量に殺戮し、大幅に人口を削減したところで、大量に中国人を移住させようと目論んでいるのでしょう。河野太郎がワクチン担当大臣に就任したのも、こうした計画があるからに違いありません」

 現時点(2021年9月28日時点)では、新型コロナウイルスワクチン接種と死亡事例の因果関係は不明または否定的であるとされている。以下は情報源である。

・新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要 (コミナティ筋注、ファイザー株式会社)000830623.pdf (mhlw.go.jp)

・新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要 (モデルナ筋注、武田薬品工業株式会社) 000830624.pdf (mhlw.go.jp)

・副反応疑い報告の状況について000830630.pdf (mhlw.go.jp)

新型コロナワクチンの接種が原因で多くの方が亡くなっているというのは本当ですか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

新型コロナワクチンの動物実験で全ての動物が死んだというのは本当ですか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

ワクチン接種後死亡1002人「接種と因果関係」結論づけられず | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース

 また、「(コロナワクチンなどによって)大幅に人口削減する」「(日本人の人口を削減することで)中国人を移住させようと目論んでいる」というような情報は見つけることができなかった。私のような庶民は官公庁の公式発表や信頼性のあるメディアの報道を「一応の正しい情報」とみなすことしかできない。たとえそのような目論見や計画があるにしても、私のような庶民には真偽を確かめようがないのであしからず。

11.【ついに乳児たちも人口削減のターゲットに】河野太郎、生後6か月以上の乳児にもコロナワクチンを接種させる計画を打ち出す」

 【総裁選・公開討論会】 新型コロナ“医療体制”は|テレ朝news-テレビ朝日のニュースサイト (tv-asahi.co.jp)によると、河野太郎氏は「3回目のブースターについても必要な量は確保していますし、来年になると生後六か月の赤ちゃんから打てるワクチンが出てくる予定です。それに加えてこの簡易検査キットを、安く大量に政府が後押しをしてしっかり検査ができる体制を作らなければいけない」と述べている。これと同じ内容は、[自民党総裁選2021]河野太郎行政・規制改革相の主張と横顔 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)という記事にもある。

 子どもはワクチンを接種することができますか。|新型コロナワクチンQ&A|厚生労働省 (mhlw.go.jp)において厚生労働省は「なお、接種の対象者は、現時点の科学的知見に基づいて決められており、日本においても、今後、接種の対象年齢が広がる可能性があります。ファイザー社及び武田/モデルナ社の新型コロナワクチンは、海外で、生後6ヶ月~11歳を対象とした臨床試験も実施されています」としている。ワクチンQ&A:みなさんへ – こびナビ (covnavi.jp)のQ9-1においても「現在、ファイザー・ビオンテック社の mRNAワクチンとモデルナ社の mRNAワクチンでは、海外で生後6か月~11歳を対象とした臨床試験が行われています」とされている。

 しかしながら「10.」でも述べた通り、現時点(2021年9月28日時点)では、新型コロナワクチン接種と死亡事例の因果関係は不明または否定的であるとされている。新型コロナワクチンによる人口削減が行われているという情報も見つけることができなかった。

12.「河野太郎が主導した国籍法改正」

 「2.」の終盤の箇所を参照して頂きたい。というか「6.」でも述べたが、そもそもツイートは論拠にならない。

13.『「地方自治体での外国人地方参政権条例制定の可能性も模索」として川崎市に提出』

 川崎市に “何を” 提出したのだろうか?

 外国人参政権でネット署名 東洋大・金教授(中瀬在住)ら 川崎市川崎区・川崎市幸区 | タウンニュース (nordot.app)外国人参政権でネット署名 東洋大・金教授(中瀬在住)ら | 川崎区・幸区 | タウンニュース (townnews.co.jp)によると、金教授と「外国籍住民の地方参政権を実現する会」は川崎市に「市長への手紙」を提出したそうだ。

 以上を鑑みるに、今回取り上げた「河野太郎氏と国籍法改正」についての記事は、正しいと判断できそうな情報が一部含まれるものの、誤った情報や無根拠な断定、不適切な引用も多く見受けられるので、「信頼性・信憑性に欠ける情報」と判断せざるを得ないだろう。

 皆さんがインターネットで怪しいと思った情報があれば、ぜひこちらへ投稿お願いします。

 ファクトチェックに関する本はこちら

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