【ファクトチェック】税金は罰金なのか?

ファクトチェック
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 今回は、税金に関するある情報をファクトチェックしてみる。以下の画像がその情報である。

 [税って何だろう] 税は会費のようなもの | 税の学習コーナー|国税庁 (nta.go.jp)の「税って何だろう?」という項には、『わたしたちが納めた税金は、みんなの安全を守る警察・消防や、道路・水道の整備といった「みんなのために役立つ活動」や、年金・医療・福祉・教育など「社会での助け合いのための活動」に使われています。そのために必要なたくさんのお金をみんなで出し合って負担するのが「税金」です。つまり税金は、みんなで社会を支えるための「会費」といえるでしょう』というように説明されている。

 つまり、税金は「罰金」ではなく、みんなで社会を支えるための「会費」であるのだ。

 「納税の義務」は、「教育の義務」「勤労の義務」に並ぶ国民の三大義務の一つである。このことは日本国憲法によって定められています。そして、その日本国憲法は国民に対する罰を規定するものではない。というか「憲法」自体、個人に対して直接的に作用するものではない。

 「憲法」とは「国家の統治権・統治作用に関する根本原則を定める基礎法。他の法律や命令で変更することのできない国の最高法規」(憲法とは何? Weblio辞書)、「国民の権利・自由を守るために、国がやってはいけないこと(またはやるべきこと)について国民が定めた決まり(最高法規)」(日本弁護士連合会:憲法って、何だろう? (nichibenren.or.jp))である。

 憲法出前講座ー憲法ってなんだろう|法・司法制度を学ぶ|東京弁護士会 (toben.or.jp)においては、「憲法は、私たち国民の誰もが持っている権利を、国家等から侵されることのないように守ってくれる防波堤です。また、法律は、他人の権利を侵害するような振舞いを制限して、みんなが快適に暮らせるようにするためのルールです。すなわち、憲法は国民一人ひとりの自由を守るために、法律を作る国家権力を縛るものです。これに対し、法律は国民が際限なく自由に振舞うことで、他の国民の迷惑とならないよう、国民一人ひとりを縛るものなのです」としている。

 以上を鑑みると次のようなことが言えそうだ。

 税金は、国民の “権利” を守るために国民自身に課せられている ”義務” である。税金は、国民の “権利” を守る役目を担う「国家」や「社会」を支えるために国民自身が会費を払うという ”義務” である。

 また、「罰」というからには、「罰」と対になる「罪」があるはずだ。

 しかし、画像内にある「呼吸をする」「働く」「買う」「資産を持つ」「住む」「酒を飲む」「タバコを吸う」「自動車に乗る」「湯に入る」「起業する」「死ぬ」「継ぐ」「あげる」「貰う」「生きる」「若い」「老ける」「老いる」という行動(行動とはみなせないものもあるが)は、どれもそれ自体としては「罪」ではない。

 勿論、反社会勢力で「働く」だったり、違法薬物を「買う」「あげる」「貰う」だったりは「罪」である。「罰」を受けなくてはならない「罪」である。しかし、画像内で列挙されている行動はどれも「罪」ではない。「罪」ではないのだから、当然「罰」を受ける必要もない。

 ちなみに、生活保護は、働かないことへの「賞金」ではない。

 「生活保護」とは、「生活に困窮する貧困世帯に対して国が扶助を行い、最低限度の生活水準を保障すると共に自立を促す制度」「日本国憲法が「生存権」として規定する「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」を守るための制度」(生活保護(せいかつほご)とは何? Weblio辞書)である。また、生活保護制度 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)には「生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています」とある。

 つまり、「生活保護」は、日本国憲法が規定する「生存権」を守るための制度である。

 「生活保護」は、「働かないこと」への賞金ではなく、「働けない状況・状態にあるがゆえに生活に困窮している国民」のためのセーフティーネット制度である。

 生活保護は「賞金」ではない。憲法においても法律においても「働かないこと」への賞の授与は定められていない。というか、「勤労の義務」が日本国憲法によって国民の三大義務として定められていることを考慮すると、現行憲法下の日本においては、「働かないこと」に対して賞を与えるのはむしろ考えにくい。

 細かいところを指摘していてはキリがないのだが、例えば、一番上の「炭素税」は、当然ながら個人の呼吸に対する罰ではないが、呼吸に対して課される税でもない。

 炭素税とは – 温暖化防止のための環境税 | 「環境・持続社会」研究センター(JACSES)には、『「炭素税」は、環境破壊や資源の枯渇に対処する取り組みを促す「環境税」の一種であり、具体的には、石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料に、炭素の含有量に応じて税金をかけて、化石燃料やそれを利用した製品の製造・使用の価格を引き上げることで需要を抑制し、結果としてCO2排出量を抑えるという経済的な政策手段です』とある。

 以上を鑑みると、今回チェックの対象としたこの画像は、”誤った認識に立脚している情報である” と判断せざるを得ない。

 皆さんがインターネットで怪しいと思った情報があれば、ぜひこちらへ投稿お願いします。

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