政党名を隠して政策比較してみる(労働・企業編)

議論
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 衆議院総選挙が10月31日に控えています。期日前投票は今月20日から始まっていますね。みなさんは各政党の政策をご覧になりましたか?投票する前には政策や公約・マニフェストを確認して、どの政党・候補者に投票するかを吟味しなければなりません。

 しかし、現実問題として選挙は「人気投票」的な傾向が強く、投票する政党・候補者を政策の吟味によって決めようとする者はあまり多くないだろう。そのような意味で、政党のブランドや知名度は政策・公約自体の存在感を薄くしていると言えるだろう(無論、ブランドや知名度もまた選挙における重要な要素ではあるが)。

 ということで、政党名を隠すことによって政策を際立たせてみた。政党のブランドや知名度は一旦脇に置いて、政策だけを考慮して、投票したい政党がどこかを考えてみよう。

 なお、今回政策を掲載するにあたっては、各政党のホームページにある「衆院選公約・政策」や「重点政策」といったものから引用することにした。また、政策の掲載の仕方は政党によって異なるので、以下に掲載した政策の分量には政党間で差がある。この点については理解いただきたい。

 ※複数項目に当てはまる政策に関しては、本項目に記載がなくても他項目にある場合があります。

A党

  • 正社員を雇用した場合、事業主の社会保険料負担を半減します。
  • 賃金を上げた場合、法人税減税や賃金補てん制度で支援します。
  • 下請け保護制度や事業承継制度など、中小企業支援策を強化します。
  • 全国どこでも時給 1,000 円以上」を早期に実現します。
  • 中小企業支援の強化で最低賃金引き上げを実現します。

B党

  • 最低賃金を中小企業への十分な支援とセットで時給1500円に引き上げる
  • 「使い捨て」の働かせ方をなくし、非正規から正社員への道をつくる
  • 国が基準を定めている、介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善する。
  • 非正規雇用への置き換えをすすめた1990年代以来の労働法制の規制緩和を根本的にあらため、非正規から正社員の流れをつくる。
  • シフト制労働者の権利を守るために、労働契約に賃金の最低保障額や休業手当の支給を明記するなどのルールをつくる。ギグワークなどの無権利な働かせ方を広げる規制緩和に反対し、権利保護のルールをつくる。
  • 労働者派遣法を抜本改正し、派遣は一時的・臨時的なものに限定し、正社員との均等待遇など、派遣労働者の権利を守る派遣労働者保護法をつくる
  • パート・有期雇用労働者均等待遇法の制定など、正社員との均等待遇をはかるとともに、解雇・雇い止めを規制する。
  • 中小企業への賃上げ支援を抜本的に強化しながら、最低賃金を1500円に引き上げます。全国一律最賃制を確立する。
  • 残業時間の上限を「週15時間、月45時間、年360時間」とし、連続11時間の休息時間(勤務間インターバル制度)を確保する。高度プロフェッショナル制度を廃止する。
  • 退職強要を許さず、解雇規制法をつくる
  • 中小企業予算を1兆円規模に増額する。
  • 中小企業憲章と小規模企業振興基本法を生かし、「競争と淘汰」から、すべての中小企業・小規模企業を対象にする中小企業政策に転換する。
  • 大企業の中小企業に対する優越的地位の乱用をやめさせ、公正な取引を保障するルールをつくる
  • コンビニ本部による「もうけ本位」の”搾取システム”を改め、24時間営業の見直し、ドミナント(集中的)出店の規制など、コンビニオーナーの営業と健康を守る

C党

  • 非正規雇用の増大に歯止めをかけ、正規雇用への転換を進める
  • 中小企業支援策とセットで最低賃金を全国一律1500円/時に引き上げる
  • 労働者派遣法を抜本改正し、派遣労働は一時的・臨時的な業務に厳しく制限する。
  • 労働契約法の無期転換ルール(有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるルール)が守られるよう事業所に徹底する。無期転換直前での雇止めを許さない。
  • 単年度雇用を厳格化した会計年度任用制度を抜本的に見直す
  • 公務サービスの担い手の確保、質の向上のために公務労働の非正規化に歯止めをかける
  • ILOが示す同一価値労働・同一賃金原則(ILO第100号条約/1967年に日本批准)に沿った職務評価(知識・技能、責任、負担度、労働環境)の手法で、日本でも同一価値労働・同一賃金の原則の研究開発を行い、その徹底と法制化に取り組む
  • “残業代ゼロ”の裁量労働制の適用拡大を許さない。
  • 解雇規制の緩和など労働者保護ルールの改悪を阻止する。

D党

  • 「労働基本法」(仮称)をつくり、働くことの価値と重要性を再確認するとともに、雇用については「無期、直接、フルタイム」という3要素を基本原則に位置付けて、雇用の本来あるべき姿を取り戻していきます。望めば正社員として働ける社会を目指します
  • 雇用形態の多様化により、フリーランスやフリーシフト制、個人請負や一人親方、副業・兼業、ギグワーカーなど、同じ働く者でありながら、労働法令等による保護から除外されてしまう働き方(働かせ方)が拡大している中で、労働時間や賃金、安全衛生など労働者保護ルールの適用のあり方を検討し、働く者全ての命と健康と暮らしが守られる環境や法制度を整備します。
  • 女性の平均賃金水準は男性の約7割にとどまり、賃金格差が大きく開いたままです。また、同じ価値の仕事でも、非正規雇用などを理由に賃金が低くなることが多く、不公平です。こうした処遇の改善を目指し、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律等の一部を改正する法律」(同一価値労働同一賃金関係)を制定します。法律には、合理的と認められない待遇の相違を禁止すること、事業主の説明義務の対象に合理的と認められない待遇の禁止等に反するものではないと判断した理由等を追加すること、待遇格差の是正は正規雇用の待遇を低下させるのではなく、非正規雇用の待遇の改善によって行われるようにすること等を盛り込み、現行の同一労働同一賃金の法制度の不備を改めます。
  • その上で、ILO第100号条約の遵守徹底を図るため、職務にふさわしい待遇を設定するための職務の価値の評価方法の調査研究等を進め、同一事業主の下だけでなく、産業間・地域間・企業規模間においても同じ価値の仕事をすれば同等の賃金が支払われることを確保し、処遇格差の是正が図られるよう、「同一価値労働同一賃金(均等待遇)」の法定化を目指します
  • 時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
  • 就職氷河期時代に学校を卒業し、不本意ながら非正規雇用で社会人としてのスタートを切り、その後も正規雇用への道が閉ざされている世代に各種の積極的労働市場施策により、正規雇用・無期転換の促進を図ります。
  • ベーシック・サービスを支える人材を確保するため、ベーシック・サービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。ベーシック・サービスの従事者の処遇改善は、結果として地域経済に潤いをもたらし、個々人の消費を拡大させることで内需を充実させるものでもあります。

E党

  • 女性・高齢者等の活躍を後押しするため、社会人などが学び直しできるリカレント教育やシニア向けの企業説明会等の機会を充実し、希望に応じて誰もが必要な能力・スキルを身に付け、就業機会の拡大につながる環境整備を進める
  • 誰もがSociety5.0に対応したスキルを身に付けられる教育環境を整備する。オンラインで職業訓練を受講できる環境を整備する。
  • デジタル人材不足はわが国の課題といわれる一方で、コロナ禍により女性の雇用状況の悪化は深刻である。デジタル職は非肉体労働で勤務場所の制約も少なく女性に向いている職種であることから、女性をデジタル人材として育成し、テレワーク就労・起業に結びつける「女性デジタル人材育成10万人プラン」(仮称)を推進する。この人材を地方自治体や中小企業での就労等に結びつけ、デジタル人材不足の解消を促し、中小企業のDX化や地方創生を進める
  • CO₂の削減効果が高い設備や、テレワークの普及に向けたハード・ソフトウェアの導入等を後押しする「グリーン・デジタルトランスフォーメーション補助金」(仮称)を創設し、中小企業等の生産性向上を支援する。
  • 最低賃金引き上げの影響を強く受ける中小・小規模事業者への支援を一層強化し、最低賃金を含めた賃上げしやすい環境を整備するため、「事業再構築補助金」や「生産性革命補助金」の大幅な拡充等を通じた生産性・付加価値の向上、所得拡大促進税制等を通じた負担軽減、人件費上昇分の取引価格への円滑な転嫁等を強力に進める。
  • 非正規雇用労働者などが月10万円の生活費を受給しながら無料で職業訓練を受けられる「求職者支援制度」を拡充する。

F党

  • 全国一律最低賃金1500円(中小企業には政府が補償)。
  • 介護・保育の月給10万円アップ(国庫年3.7兆円)。
  • 非正規公務員の正規化(現在約70万人)。
  • 医療従事者の処遇を大幅に改善。
  • 働く人を徹底的に守る。経団連の「雇用の流動化」という名の規制緩和をストップ、派遣法を見直し、長時間労働の規制を行う。労働基準監督署の強化、成果主義への規制、病気や障害で選別されない雇用制度、有給で受けられる職業訓練等の増加等。
  • 中小企業への仕事と雇用を作る。
  • 国有・公有・協同組合など企業所有形態の適正かつ多様なあり方を促進する。

G党

  • コロナ禍の影響を受ける中小企業・小規模事業者の事業存続・雇用維持に、大胆かつ総合的な支援を行う
  • 中小企業・小規模事業者の新分野展開や業態転換を支援するため、事業再構築補助金を拡充し、運用を改善する。
  • 中小企業・小規模事業者の生産性向上・事業再編や、スタートアップの成長を、徹底的に支援する。事業承継の際に個人保証を引き継がない「個人保証ゼロ」に向けた施策を実行する。
  • 企業が長期的な目線に立ち、「株主」のみならず、「従業員」「消費者」「取引先」「社会」にも配慮した経営ができるよう、環境整備を進める。このため、コーポレート・ガバナンスや、企業開示制度のあり方を検討する。
  • 「労働分配率の向上」に向けて、賃上げに積極的な企業への税制支援を行う。
  • 「四半期開示」を見直し、長期的な研究開発や人材投資を促進する。
  • 下請取引に対する監督体制を強化する。
  • 高齢者、女性、障害者を含め、誰もが自らが望む形で働ける社会を目指す
  • 働き方に中立的な、充実したセーフティネットを整備していくため、働く方が誰でも加入できる「勤労者皆保険」の実現に向けて取り組む。
  • 障害のある方の就労機会を増やすために、職業紹介の推進とともに、コロナ禍で赤字になっている「就労系障害福祉事業所」への支援を行う。
  • 介護の受け皿50万人分を整備し、質の高い介護人材を確保するため、更なる処遇改善を進め、「介護離職ゼロ」を目指す。
  • 看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士をはじめ、賃金の原資が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直す

H党

  • 「負の所得税」同様の考え方を実現するため、給付付き税額控除あるいはベーシックインカムの導入を検討し、就労意欲の向上と雇用の流動化を図り、労働市場全体の生産性と賃金水準の向上を実現します。
  • 解雇ルールを明確化するとともに、解雇紛争の金銭解決を可能にするなど労働契約の終了に関する規制改革を行い、労働市場の流動化・活性化を促進します。同時に、労働移動時のセーフティネットを確実に構築し、フレキシキュリティ(柔軟性+安全性)の高い社会を目指します。
  • 法律施行後も実態が伴わない「同一労働同一賃金」を実現するため、国の責務として、労働移動を阻害する年功序列型の職能給から「同一労働同一賃金」を前提とする職務給への転換を促進します。
  • 「ジョブ型」雇用への転換促進のため、労働基準法を改正し、企業が労働時間ではなく仕事の成果で評価できることを可能にし、被雇用者を法的に保護します 。
  • いわゆる「エッセンシャルワーカー」を中心とする労働集約型の企業が持続・成長可能な税制を整備します。具体的には、被用者の待遇・賃金水準の向上を目指し、労働分配率の高い企業に減税などのインセンティブを講じます。
  • インターバル規制をはじめとするシニア向け労働法制の整備や、低賃金労働者等に向けた給付付き税額控除の一種である勤労税額控除の導入など、勤労インセンティブを与える仕組みを検討します。
  • 深刻化する就職氷河期(ロスジェネ)世代の課題に正面から取り組み、非正規雇用者は柔軟で多様な働き方と再チャレンジができるよう、職業訓練や社会保障の強化を進めるなど環境を整えます
  • 労働市場のニーズを踏まえ、公的職業訓練を徹底的に見直すとともに、ハローワーク(公共職業安定所)の国から地方への移管などにより、住居・生活・福祉などの支援を一体的に提供し、地域の実状や強みを活かした労働市場の創出を目指します
  • 「下請けいじめ」等を防止するため、独占禁止法の優越的地位の濫用禁止規定や、下請け代金支払遅延等防止法を厳格に運用し、中小零細企業が親会社を含めた大企業との取引で契約通りの支払い等を受けられる環境整備を推進します。
  • 災害復興時に地元の中小零細建設業の利活用が必要なことから、国の出先機関の発注する公共工事では、当該地域の中小零細企業の受注割合は5割程度を目途に定めます。
  • 中小企業の円滑な事業承継の実現に向けた税制の見直しをさらに推し進め、第三者による承継(M&A)を後押しすることで、地域の雇用を守り、中小企業の技術やノウハウの喪失を防ぎます。
  • 中小企業経営者の個人保証が、経営者として再起を図る機会の障害や、個人の経済的破綻等の原因にもなっていることに鑑み、会社の救済と個人の救済を明確に区別するため、個人保証の廃止を含めた見直しを検討します。
  • 地方銀行、地域金融機関におけるデジタライゼーション(デジタル化)を促進し、新たな社会環境に対応できるよう自立的な業務改善・収益力強化を図ります。(再掲載)
  • すべての産業分野において、競争政策3点セットとして①供給者から消費者優先、②新規参入規制の撤廃・規制緩和、③敗者の破綻処理が行われ再チャレンジが可能な社会づくりを実現します。
  • 特に規制改革については「事前規制から事後チェック」への移行を目指し、過剰な事前規制が阻んできたイノベーションを促進します。根強く行政に残る過剰な規制については、客 観的な指標や 2:1ルール1つの規制を新設するためには 2つの規制を撤廃する)の導入により、段階的に削除していくことを目指します。
  • 公共工事の拡大ではなく、日本の競争力を高めることに徹底した競争政策を実施します。
  • 企業のモラルハザードが横行し特許侵害がやり得になっている現状に鑑み、実効性のない刑事罰は廃止し、特許が尊重されるよう法律を整備します。

【アンケート】自分に合う政党はどれ?

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