政党名を隠して政策比較してみる(経済・財政・金融編)

議論
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 衆議院総選挙が10月31日に控えています。期日前投票は今月20日から始まっていますね。みなさんは各政党の政策をご覧になりましたか?投票する前には政策や公約・マニフェストを確認して、どの政党・候補者に投票するかを吟味しなければなりません。

 しかし、現実問題として選挙は「人気投票」的な傾向が強く、投票する政党・候補者を政策の吟味によって決めようとする者はあまり多くないだろう。そのような意味で、政党のブランドや知名度は政策・公約自体の存在感を薄くしていると言えるだろう(無論、ブランドや知名度もまた選挙における重要な要素ではあるが)。

 ということで、政党名を隠すことによって政策を際立たせてみた。政党のブランドや知名度は一旦脇に置いて、政策だけを考慮して、投票したい政党がどこかを考えてみよう。

 なお、今回政策を掲載するにあたっては、各政党のホームページにある「衆院選公約・政策」や「重点政策」といったものから引用することにした。また、政策の掲載の仕方は政党によって異なるので、以下に掲載した政策の分量には政党間で差がある。この点については理解いただきたい。

 ※複数項目に当てはまる政策に関しては、本項目に記載がなくても他項目にある場合があります。

A党

  • 経済政策を積極財政に転換します。需要が供給を上回る状態にすることで消費や投資を活性化し、労働需給が好転して健全に賃金が上昇する「高圧経済」を実現します。積極財政への転換の第一歩として、コロナ禍の影響を受けた個人や事業者を救済するため、50 兆円規模(需給ギャップ+α)の緊急経済対策を速やかに実施します。
  • まん延防止協力金として一律 10 万円、低所得者には 10 万円上乗せして 20万円を給付します。
  • 迅速な給付のために一律に給付したうえで、一定以上の高所得者に対しては年度末の確定申告時に所得税に課税する「所得連動型給付方式」とします。
  • コロナの影響を受けた事業者に対して、業種や地域を問わず、事業規模及び売り上げの減少幅に応じて、家賃や光熱水費などの固定費を最大 9 割(最大月 2 億円)まで支援します。
  • コロナ禍の影響が収束し、経済が回復するまでの間、消費税減税(10%→5%)を行います。
  • 個人、事業者に対する税・社会保険料の猶予・減免措置を延長・拡充するとともに、コロナ禍の影響が収束するまで、事業者の消費税納税を免除します。
  • 中小事業者の負担などを踏まえ、インボイス制度は導入しません
  • これらの政策を実現するため、「教育国債」の創設、日銀保有国債の一部永久国債化などにより、財源を多様化し、確保します。また、格差是正の観点から、富裕層への課税を強化します。
  • 「大規模、長期、計画的」な産業政策を行い、生産性向上を実現します。そのために「小規模、短期、場当たり的な」財政出動を転換し、競合国に見劣りしない規模の産業支援措置を講じます。
  • 推計を踏まえ、法人課税、金融課税、富裕層課税も含め、財政の持続可能性を高めます

B党

  • 弱肉強食の新自由主義を終わらせ、命と暮らしを大切にする政治に。アベノミクスと決別し、トリクルダウンからボトムアップへの転換を。家計応援の政治に切り替えて、経済のボトムアップ=底上げをはかる、この道でこそ、コロナ危機から日本経済を立て直すことができる。
  • 富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税は5%に減税する。
  • 消費税率を自公政権が2度にわたって引き上げる前の5%に引き下げる。
  • コロナ危機で納税困難に陥っている事業者に消費税を減免する。
  • 政府が導入を予定しているインボイス制度は、零細業者やフリーランスに納税義務を広げ、負担と格差をさらに拡大するものであり、ただちに中止する。
  • 租税特別措置や連結納税など、大企業優遇税制を廃止・縮小する。
  • 法人税率を、中小企業を除いて安倍政権以前の28%に戻す
  • 富裕層の株取引への税率を欧米並みの水準に引き上げる。
  • 所得税・住民税の最高税率を現行の55%から65%に引き上げる。
  • 富裕層の資産に毎年低率で課税する富裕税や、為替取引額に応じて低率の課税を行うなど、新たな税制を創設する。
  • コロナ危機への対応など、緊急かつ臨時的に必要となる対策は、この提言では20兆円をこえる規模となるが、あくまで臨時的・一時的な支出であり、その財源は、国債の増発によって賄う。
  • 消費税減税や社会保障の拡充、教育費負担の軽減など、コロナ収束後も恒常的に必要となる施策の財源は、恒久的な財源を確保する必要がある。この提言では19兆円程度になる。大企業優遇税制の見直し、法人税率を中小企業を除いて安倍政権以前の水準(28%)にもどすことで8兆円、富裕層への税負担の見直しで約3兆円、富裕税や為替取引税の創設で約3兆円、軍事費や大型開発の浪費の削減などで約5兆円――あわせて19兆円を確保する。

C党

  • コロナ対策・生活再建のため3年間の限定で消費税率をゼロとして、生活を助け購買力増で経済に活力を取り戻す。
  • 財源として大企業の内部留保金への課税を提案する。
  • 所得税累進課税を強化し、法人税や優遇税制、金融課税を見直し、大企業や富裕層には応分の負担を求める税制改革を断行する。

D党

  • グリーン(環境・エネルギー分野)、ライフ(医療・介護分野)、ローカル(農業・観光分野)で、地産地消、地域のニーズに応じた新たな地場産業を創出します。特に、中小・小規模事業者の専門性や独自性を伸ばす公的支援を拡充します。
  • ベーシック・サービス(医療、介護、障がい福祉、子育て、保育、教育、放課後児童クラブ等)の充実により、将来不安を解消することで、経済成長を促します。
  • コロナ禍の影響で家計が苦しい世帯に対する即効性のある支援として、個人の年収1000万円程度まで実質免除となる時限的な所得税減税と、低所得者への年額12万円の現金給付を行います。
  • コロナ禍が収束した時点を見据え、税率5%への時限的な消費税減税を目指します
  • 時給1500円を将来的な目標に、中小零細企業を中心に公的助成をしながら、最低賃金を段階的に引き上げます。
  • 法人税は、必要な政策減税は残した上で、所得税と同様、累進税率を導入します。
  • 所得税の最高税率を引き上げ、現在、分離課税になっている金融所得について、将来の総合課税化を見据え、国際標準まで強化します。
  • 確かな税財源の確保や、行政需要の変化に応じた予算配分、適切な執行、成長力強化による税収増など、歳出・歳入両面の改革を行い、中長期的に財政の健全化を目指します
  • 市場との対話を通じて、異次元緩和により財政ファイナンス化した金融政策の正常化を図りつつ、企業の持続的成長と国民の安定的な資産形成に資する金融環境の構築を目指します。
  • 2023年10月導入予定の適格請求書等保存方式(インボイス制度)については、免税事業者が取引過程から排除されたり、不当な値下げ圧力を受けたり、廃業を迫られたりしかねないといった懸念や、インボイスの発行・保存等にかかるコストが大きな負担になるといった問題がある上に、現在のコロナ禍の経済情勢では準備期間が不足することから、コロナ禍が収束して経済情勢が回復するまでの間は、導入を延期します。
  • 分厚い中間層を復活させるため、所得税の最高税率引き上げ、所得控除から税額控除へ、さらに税額控除から「給付付き税額控除」への転換、基礎控除の拡充をはじめとした諸控除の見直し等により、高所得者に有利な税体系を中低所得者の負担軽減につながるものに改めます。
  • 金融所得課税については、所得再分配機能回復の観点から、国際標準まで強化するとともに、中長期的には総合課税化を目指します
  • 法人税については、税率引き下げ競争に与するのではなく、所得再分配機能を強化する観点から、巨額の利益を上げている企業に応分の負担を求めるべく、超過累進税率を導入します。
  • 近年、大きな災害が多発していることを踏まえ、雑損控除から災害による損失控除を独立させ、「災害損失控除」を創設します。
  • 新規の正規雇用を増やす観点で中小企業の社会保険料事業主負担分を軽減することを通じて、企業活動を支えるとともに、従業員の手取り増と生活の充実へつなげます
  • 過疎や人口減少・高齢化による地方の課題に対して、解決につなげるための新しい技術を導入する自治体や中小企業の取り組みを支援します。
  • 特定条件下での完全自動運転(レベル4)、完全自動運転(レベル5)を世界に先駆けて社会実装するため、研究・開発の支援と道路交通法をはじめとする法整備を総合的に進めます
  • 海外で展開する事業者等に対して、新型コロナウイルスをはじめとする感染症など予見不可能な被害に対して、公的に支援する制度を設けます。

E党

  • 重点政策には記載なし

F党

  • 日本円を発行するという通貨発行権を、緊急時には速やかに行使できる。
  • 消費税の廃止(毎日を10%OFFに)。
  • 社会保険料負担軽減(まずは国費投入額を倍に、毎月5,000円キャッシュバック)。
  • デフレ脱却給付金(インフレ率によって変動する給付金)。

G党

  • 成長戦略、生産性革命、人づくり革命など、政策を総動員し、GDP600兆円経済、成長と分配の好循環を創る
  • 第4次産業革命の資源である「データ」を利活用するための戦略的体制整備を進め、AI、IoT 等を活用し、生産性の向上と、農業、医療、教育など各分野でイノベーションを創出する。また、キャッシュレス、自動走行など、暮らしをバージョンアップする。
  • 宇宙・海洋資源、G空間、バイオ、量子技術、コンテンツなど、新たな産業フロンティアを官民挙げて切り拓く。
  • 中小企業・小規模事業者の皆さんを、固定資産税ゼロ事業承継時の相続税ゼロなど、かつてない制度で応援する。
  • 下請けいじめの撲滅、適切な利益分配の実現に向け、産業・業種ごとに取組みを強化する。
  • 事業承継の障害とならないよう、金融機関による新旧経営者からの保証の二重徴求を原則認めないこととする。
  • 深刻な人手不足に対応するため、設備投資、IT導入など生産性向上を支援するとともに、外国人材の受け入れを進める
  • エネルギーの安定供給と低コスト化を両立するための技術革新を進め、エネルギーミックスの確実な実現とエネルギー自給率の向上に取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する。
  • 「新しい資本主義」で分厚い中間層を再構築する。「成長」に向けた「大胆な危機管理投資(様々なリスクの最小化に資する財政出動や税制措置)・成長投資(強みのある技術分野を更に強化し、新分野を含めて研究成果の有効活用と国際競争力の強化に向けた戦略的支援)」とともに、「分配」によって所得を増やし、「消費マインド」を改善する。
  • 「金融緩和」「機動的な財政出動」「成長戦略」を総動員し、傷んだ日本経済を立て直し、「成長」の軌道に乗せる
  • DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進をはじめ新たな経済社会システム構築に向けて、時代の要請に応える規制改革を大胆に進める
  • 財政の単年度主義の弊害を是正する。企業に長期的視点を求めることと同様、政府も、科学技術の振興、インフラ整備や経済安全保障などの国家課題に長期的・計画的に取り組む。
  • 日本に世界・アジアの国際金融ハブとしての国際金融都市を確立するべく、海外金融機関や専門人材の受入れ環境整備を加速させ、コーポレート・ガバナンス改革、取引所の市場構造改革、金融分野のデジタル化の推進などを通じて、資本市場の魅力向上を図る。公平・公正・透明な金融市場への適正化を図り、金融商品に対する信頼確保に努める。
  • 未来の成長を生み出す民間投資を喚起するため、現下のゼロ金利環境を最大限に活かし、財政投融資を積極的に活用する。
  • オープンイノベーションへの税制優遇、研究開発への投資、政府調達など、スタートアップへの徹底的な支援を行う。
  • わが国の戦略的自立性と戦略的不可欠性を確保するため、戦略技術・物資の特定と、技術流出の防止等に資する「経済安全保障推進法(仮称)」を策定する。
  • 緊急時でも「生活・医療・衛生・産業に必要な物資」を国内で生産・調達することを可能にするために、生産協力企業への設備投資支援、研究開発・生産拠点の国内回帰を促す税財政支援、基礎的原材料の確保に取り組む。
  • 先端半導体技術、医薬品、電池等の開発・製造立地の推進、次世代データセンターの最適配置の推進、レアアース等の重要技術・物資のサプライチェーンの強靭化に取り組む。
  • 海外からのサイバー攻撃が激増する中で(2020年は、1日平均13億6,600万回)、皆様の生命や金融資産を守り抜くために、特に「航空」「鉄道」「自動車」「医療」「電力」「ガス」「水道」「金融」「クレジット」などの分野におけるサイバー防御態勢の樹立と高度化、情報セキュリティ産業の育成を急ぐ。

H党

  • 長期低迷とコロナ禍を打破するため、2年(目安)に期間を限定した消費税5%への引き下げを断行します。引き下げ期間終了については経済状況を考慮し、将来的な地方税化と税制改革を合わせて検討します。
  • 成長のための税制を目指し、消費税のみならず所得税・法人税を減税する「フロー大減税」を断行し、簡素で公平な税制を実現します。
  • フロー大減税を行うと同時に、ストック課税はそのあり方を見直すなど、「フローからストックへ」を基軸とした税体系全体における抜本的な改革を行います。
  • 高額所得者ほど総所得に占める金融所得の割合が高く、所得税負担率に逆累進性が働いている現状を改善し、総合課税化とフラットタックス導入を含む税制改革により課税の適正化・格差是正を図ります。
  • 既得権益化した複雑な租税特別措置法を廃止し、「簡素、公平、活力」の税制へと転換を図ります。
  • マイナンバー制度の活用や銀行口座との紐付けにより、個人・法人の資産と収入を正確に把握し、効率的かつ公平で抜け漏れのない徴税を行います 。
  • 地方公共団体の自主財源を適切に確保するため、国と地方公共団体による税財源の配分を見直し、恣意的な偏在是正措置を伴う非合理な地方法人税は廃止します。
  • 消費税は地方自立のための基幹財源と位置づけ、税率設定を地方に任せた地方税へと移行します。
  • エンジェル税制のさらなる促進や、ストックオプションにかかる課税等の一層の見直しにより、投資を促す税制度を整備します。
  • 交際費への課税を大幅に見直し、負担を軽減することで企業・経済活動のより一層の活性化を促します。
  • 投資促進に寄与している少額投資非課税制度(NISA)については、時限措置ではなく恒久措置とし、特につみたてNISAは投資枠の上限拡大を図るとともに、開始時期にかかわらず 20 年間のつみたて期間が確保されるよう制度期限を延長します。
  • 中央銀行をもつ国家と地方自治体は異なることを前提に、長期に渡る不況と低金利にコロナ禍が加わった現状に鑑み、将来世代の負担と過度なインフレを招かない範囲で積極的な財政出動・金融緩和を行います。
  • コロナ禍により赤字幅が拡大することが確実な基礎的財政収支(プライマリーバランス)について、現実的な黒字化の目標期限を再設定したうえで、経済成長/歳出削減/歳入改革のバランスの取れた工程表を作成し、増税のみに頼らない成長重視の財政再建を行います。
  • 「財政の見える化」のため、国・地方の財政制度に発生主義会計と複式簿記を導入し、公会計制度改革を実行します。
  • 新型コロナウイルスによる影響が続く現状においては、諸外国の対応に十分留意しながら、必要かつ十分な金融緩和を継続します。同時に、常態化している「異次元の金融緩和」における出口戦略の策定に着手し、金融緩和と財政出動に過度に依存しない体制づくりを進めます。
  • 日銀の会計処理につき、民間金融機関同様に簿価会計ではなく時価会計を導入させ、日銀財務の健全性を明らかにします。
  • 地方銀行、地域金融機関におけるデジタライゼーション(デジタル化)を促進し、新たな社会環境に対応できるよう自立的な業務改善・収益力強化を図ります。
  • 特区を用いた実証実験を行うなど、中央デジタル通貨(CBDC)の研究開発を進め、諸外国に乗り遅れないよう目標期限を定めた積極的な導入検討を行います。
  • 暗号資産税制の改正を行い、暗号資産を利用した資金決済分野の革新を後押しするとともに、ブロックチェーン技術の研究開発を進め、暗号資産の分野で世界をリードする先進国の立場を取り戻します
  • フィンテックはじめ金融サービスのイノベーションを推進するため、銀行・証券・保険の垣根を超えた規制改革を推進します。
  • 特区の活用を含めて税制見直しや多言語対応・在留資格の緩和を推進し、日本国内に香港に代わる新たな国際金融都市を創り出します

【アンケート】自分に合う政党はどれ?

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