ギロンバは、議論を通じてあらゆる視点や考え方を摂取し、みんなで共にあらゆる問題について考えるための場である。ギロンバは容易に結論を出すことを拒否し、長期に渡って万人に開かれる議論を育んでいく。
本来、議論は勝負ではなく、「論破」といったものも存在しない。しかし現在、議論は勝負であり、論破するのがカッコいいという誤った風潮が蔓延していて、議論の価値が貶められている。議論をめぐる状況は悪化の一途を辿っていると言える。ギロンバはそのような状況に一石を投じ、「ある問題についてみんなで共に理解を深める議論」を実現しようという試みである。
議論とは勝ち負けを争うような競技的なものではなく、世界の様々な問題・事象に関して参加者全員で理解を深めるための営みである。また、議論はコミュニケーションであり、問題の改善や解決を目指すための手段である。あくまで我々はより良い世界を目指す。我々の大切な時間・労力・感情は余計な争いに費やすのではなく、より良い世界を創るため、新たな理解を獲得するために費やす。そんな我々の最良の友が「議論」なのである。
他者の人格を否定せずに肯定し、自らは謙虚であり続けるという姿勢。他者の立場に寄り添い、自らの意見のみならず他者の意見をも助けるという姿勢。他者の意見の結論だけでなくその前提や根拠も理解し、自分と他者それぞれの意見の共通部分を探すという姿勢。永遠不変の真実や単純明快な答えなど存在しないということを認めつつ、それでも問題について思考し続けるという姿勢。楽な思考に逃れず、巷にあふれる単純な二項対立図式や根拠なき流言を拒否するという姿勢。当然視されている既存の考えや常識にあぐらをかかずに、万物を疑うという姿勢。これらの姿勢を参加者全員が固守することで、議論は我々一人一人にとっても世界にとっても強力な味方となる。
身の回りのことから世界や宇宙まで、たった今のことから太古や遥か未来まで、私やあなたから地球の裏側の見知らぬ人や存在するかも分からない宇宙人まで、議論は我々の想像力の飛躍を可能にする。自分以外の視点を獲得しようと努め、参加者間の相互理解と意見間の相互補強・錬磨を図る。そんな議論をギロンバは目指している。
