今回は、「国が認める人工地震!2011年7月11日衆議院復興特別委員会で浜田政務官」という動画を検証する。昨晩(2021年10月7日22時41分)に首都圏で発生した地震(震源:千葉県北西部、最大深度:5強、マグニチュード:6.1)を受けて、この動画を引用するツイートが増えている。
なお、下で紹介する動画は「人工地震 ”兵器” 」という文脈で引用されていることが多く、ここで取り上げる浜田政務官の発言もこの文脈に沿っているので、ここでは、”兵器” としての「人工地震」について扱うことにする。
地中探査の一手法としての「人工地震」については今回は扱わないが、地震探査とは – コトバンク (kotobank.jp)を参考にしてもらえれば、辞書的な意味は確認できるだろう。
では、「国が認める人工地震!2011年7月11日衆議院復興特別委員会で浜田政務官」 を見てみよう。
この動画は、平成23(2011)年7月11日に行われた第177回国会東日本大震災復興特別委員会における一コマである。柿澤未途委員が質問して浜田和幸総務大臣政務官がそれに答えている。以下でこの箇所の議事録を確認してみよう。
第177回国会 東日本大震災復興特別委員会 第10号(平成23年7月11日(月曜日)) (shugiin.go.jp)
Q.柿澤未途委員
「浜田政務官の国際政治経済学者時代の論文をきょうは資料として配付させていただきました。『スマトラ沖地震に隠された仰天情報』、私なりに要約すると、アメリカが気象コントロール技術の研究をしていて、二〇〇四年のインドネシア・スマトラ沖地震と巨大津波も、アメリカの開発した地震兵器、津波兵器が引き起こしたものである疑いがある、文字どおり、仰天するような内容がここに書いてあります」
「『アメリカの思惑』として、地震と津波の襲ったこの地域は熱烈なビンラディン支持者が多い、東ティモールの独立勢力も一掃された、アメリカの石油資本にとって、長年の敵が消滅し、願ってもない自然災害だったと書いてある。最後には、悪の枢軸国に対しては地震や津波兵器を使うこともいとわぬアメリカ、こういうふうに書いてあります」
「浜田政務官がこのような発言をしたり論文を書いたりしたのは、一度や二度ではありません。いわば浜田政務官の持論であり、信念であると言って差し支えないと思います」
「こういう方を公認して選挙に擁立した自民党もなかなか勇気があるなというふうに思いますけれども、菅総理に至っては、この海外の人脈やパイプを生かして国際的な震災復興の協力体制を築いてほしい、何をどうしてほしいというんでしょうかね。正直、スマトラ沖地震と津波はアメリカの地震・津波兵器のしわざだと言われたら、国際的な震災復興の協力体制といったって、むしろ、アメリカだって、こんな人を登用するなんて日本国政府は何を考えているんだと思われてしまうのではないかというふうに心配をいたします」
「どう思われますか、浜田政務官」
A.浜田和幸大臣政務官
「地震兵器とか自然改変装置というのは、別にアメリカだけではなくて、旧ソ連、今のロシアも、中国も、多くの国々が研究開発に余念なく取り組んできた事実があります。しかも、地震あるいは津波を人工的に起こすということは実は技術的には十分可能だと言われているのは、国際政治、軍事上においては常識化されているわけであります。そういった意味で、スマトラ沖の問題にしても、そういう可能性があるということを十分踏まえた上で世界の国際政治の現実ということをとらえる必要があるというのが私の基本的な考え方であります」
「だからといって、そのことによってアメリカ政府やアメリカのさまざまな企業が日本のために援助をしない、そんなことは決してありません。現実に、さまざまなアメリカの軍の関係の技術、国立のさまざまな研究所から、今回の大震災に関して技術的な協力をしたいという申し出が寄せられているという事実があるわけであります」
この箇所を確認してみると、「地震兵器」「自然改変装置」が存在していることや、これらが「国際政治、軍事上においては常識化されている」という見解はあくまで浜田政務官の個人的な見解であることが分かる。浜田政務官自身、「(地震兵器や自然改変装置が使用される(使用された)可能性を十分に踏まえて国際政治を捉える必要があることは)私の基本的な考え方であります」と発言している。
これはあくまで一人の国会議員の見解であって国としての見解ではないように思われる。それゆえ、当該動画のタイトルにある「国が認める人工地震」というのは誤った表現、誤解を招いてしまう表現であるとギロンバは判断したい。
また、浜田和幸氏の「地震兵器や自然改変装置が技術的に可能であることは国際政治・軍事においては常識である」という見解が、国際政治や軍事に関する学会や業界において主流の見解であるのか異端な見解であるのかは不明である。この点に関しては更なる検討・調査が必要であろう。専門家による見解を見聞きした際には、その見解の学会や業界における立ち位置・評価を考慮する必要があるということを読者のみなさんには覚えておいてほしい。
ちなみに、柿澤委員が資料として用意してきた、浜田和幸氏の『スマトラ沖地震に隠された仰天情報』(CiNii 論文 – スマトラ沖地震に隠された仰天情報)は月刊誌の「新潮45」(現在は休刊)に掲載されていたらしい。この情報源の信頼性の有無・程度についての判断は読者のみなさんに委ねることにする。
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