政党名を隠して政策比較してみる(エネルギー・環境編)

議論
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 衆議院総選挙が10月31日に控えています。期日前投票は今月20日から始まっていますね。みなさんは各政党の政策をご覧になりましたか?投票する前には政策や公約・マニフェストを確認して、どの政党・候補者に投票するかを吟味しなければなりません。

 しかし、現実問題として選挙は「人気投票」的な傾向が強く、投票する政党・候補者を政策の吟味によって決めようとする者はあまり多くないだろう。そのような意味で、政党のブランドや知名度は政策・公約自体の存在感を薄くしていると言えるだろう(無論、ブランドや知名度もまた選挙における重要な要素ではあるが)。

 ということで、政党名を隠すことによって政策を際立たせてみた。政党のブランドや知名度は一旦脇に置いて、政策だけを考慮して、投票したい政党がどこかを考えてみよう。

 なお、今回政策を掲載するにあたっては、各政党のホームページにある「衆院選公約・政策」や「重点政策」といったものから引用することにした。また、政策の掲載の仕方は政党によって異なるので、以下に掲載した政策の分量には政党間で差がある。この点については理解いただきたい。

 ※複数項目に当てはまる政策に関しては、本項目に記載がなくても他項目にある場合があります。

A党

  • デジタル化、カーボン・ニュートラル(CO2 排出量の収支実質ゼロ化)を長期的、計画的に促進するための基金(仮称「DCN 基金」)を創設します。
  • 再生可能エネルギー技術の開発を加速し、分散型エネルギー社会の構築をめざします。
  • 民間におけるデジタル、環境分野への投資を加速するため、取得額以上の減価償却を認めるハイパー償却税制を導入します。

B党

  • 2030年度までに、CO2を50%~60%削減する(2010年度比)ことを目標とする。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、CO2の50%~60%の削減は可能である。さらに2050年にむけて、残されたガス火力なども再生可能エネルギーに置き換え、実質ゼロを実現する。
  • 日本全体のCO2排出量の約4割を発電が占めている。2030年までに、電力消費を20~30%削減する、石炭火力・原発の発電をゼロにする、電力の50%を再生可能エネルギーでまかなう、という大改革をすすめる。
  • 再生可能エネルギー電力の優先利用原則を確立し、送電網・供給体制を整備する。
  • 再エネは地域のエネルギーであり、地域と住民の力に依拠した開発をすすめる
  • 再エネ導入の最大の障害になっている、メガソーラー・大型風力などによる乱開発を規制する。
  • CO2削減目標を業界・企業の「自主目標」まかせでなく、国との「協定」にして国民への公約にする。
  • 中小企業の「省エネ投資」を支援する。
  • 脱炭素と結びついた農業・林業の振興をはかる。
  • 交通政策を脱炭素の観点から全面的に転換し、鉄道、路線バスなどの公共交通を重視する。
  • 電気自動車などを普及し、2050年までに自動車からCO2排出をゼロにする。
  • 都市・住宅において断熱・省エネのまちづくりをすすめる。
  • 自治体のゼロエミッション(排出ゼロ)をすすめる。

C党

  • 脱炭素は脱原発とセットで実現しなければならない。
  • 野党4党で共同提出した「原発ゼロ基本法案」を成立させ、全ての原発を法施行5年以内の廃炉を決める。
  • 福島第一原発にたまった汚染水の海洋放出には絶対反対である。
  • 世界の平均気温上昇を1.5%に抑える目標の達成のために、温室効果ガス削減を加速させ2013年比で2030年に60%減、2050年に100%減という目標を提案している。
  • 省エネを進めエネルギー消費量を削減、2050年には自然エネルギー100%の実現をめざす。
  • 「グリーンリカバリー」で地球環境と両立する産業の育成や雇用の創出を推進する。
  • すべての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定。
  • 再稼働、新増設・リプレースは認めない。
  • 使用済み核燃料再処理・核燃料サイクル事業を中止。
  • 省エネルギー・再エネルギー利用をすすめる。
  • 原発周辺の雇用・経済対策を国が支援
  • 直ちに脱原発を決断するべきである。
  • 高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉に続き、六ヶ所村再処理工場も直ちに廃止すべきである。
  • 数値目標 温室効果ガス削減(2013年比)
    • 2030年 60%減 2050年 100%減
  • 最終エネルギー消費削減(2013年比)
    • 2030年 40%減 2050年 70%減
  • 電源構成
    • 原子力     :2030年 ゼロ(原発ゼロ基本法施行5年以内に廃炉)
    • 石炭火力    :2030年 ゼロ
    • LNG火力    :2030年 50%→2050年 ゼロ
    • 再生エネルギー :2030年 50%→2050年 100%

D党

  • 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の基本として、使い捨てプラスチックの使用量を減らすことが最も必要かつ効果的な対策であることから、廃プラゼロ法案を提出し、脱使い捨てプラスチック社会を目指します。
  • 廃プラスチックの熱回収について、気候変動対策の視点から、熱回収をしなくてもリサイクルできる仕組みを検討します。
  • 生物多様性条約の愛知ターゲットの目標が達成できなかったことについての検証と、これからの目標設定に積極的な提案を行っていきます。
  • 日本の美しい自然、豊かな生態系を後世に引き継ぐため、民間が行うナショナルトラスト活動に対し支援を行う法制度(ナショナルトラスト法案)の検討を進めます。
  • 海外から流入し日本の木材市場に悪影響を及ぼす違法伐採木材の関連法についても検証し、対策強化について検討します。
  • 人と動物が幸せに暮らす社会に向け、動物を飼養・管理する者の責務と動物取扱業者の責任の強化動物に不必要な苦痛を与える虐待行為に対する罰則の強化などに取り組みます。
  • 産業動物や動物実験への対応を含め、動物福祉に関する法整備や「動物園法」の制定を目指します。

E党

  • 2兆円の「グリーンイノベーション基金」を活用した革新的な技術や新製品の開発、グリーン分野への業態転換、教育訓練給付制度の活用など、政策を総動員して社会変革を促し、新たな経済成長や雇用の拡大を実現する。
  • 地域の脱炭素化や災害時の電源確保、CO₂を出さない「ゼロカーボン・ドライブ」実現に必要な小型の電気自動車(EV)、燃料電池自動車(FCV)等の普及促進に向けて、補助金を大幅に拡充し、さらなる負担軽減を図るとともに、高速道路料金等に使用できるポイントを付与するなど購入時のメリットを増やします。また、電動アシスト自転車や電動車いすの普及促進を強力に進める
  • 製品やサービスのCO₂排出量の見える化を図り、脱炭素への行動や商品の購入等にグリーンライフ・ポイントを付与する企業や地域の取り組みを推進するとともに、ナッジ(行動科学の知見から、望ましい行動を取れるよう、人を後押しするアプローチのこと)とデジタルを活用して脱炭素に向けた効果的な仕組みを構築する。

F党

  • 原発は即時禁止。政府が買い上げて、着実に廃炉を進めていく。
  • 原発立地地域の住民主体の「公正な移行」のための「廃炉ニューディール」政策で地域雇用を保証する。
  • 福島第一原発事故の被害者に徹底的な賠償を行う。
  • 「2050年自然エネルギー100%」のカーボンニュートラルをめざす。
  • 脱炭素政策により、すべての人々に雇用を、すべての地域に富を行き渡らせる。
  • 新たな技術開発には国の資金を大胆に投資する。
  • 炭素配当を導入し、環境税などの負担増を導入する場合でも、気候変動による被害を受ける可能性が高い低所得者の人々の命と暮らしを支える再分配に活用する。
  • 既存の「気候変動適応法」を機能させるべく、自治体に政策資源を提供する。
  • 災害対策、気候変動対策は自治体が主役。プロフェッショナルを育て、雇用を促進する。

G党

  • 災害多発の原因となっている気候変動に対応するため、フロン類の排出抑制やESG金融(環境Environment・社会Social・企業統治Governance)などを推進し、2030年度温室効果ガス26%削減、2050年80%削減を経て脱炭素社会の実現に取り組む
  • 廃プラスチックをはじめ、国内の資源循環体制の構築に取り組む。
  • エネルギーの安定供給と低コスト化を両立するための技術革新を進め、エネルギーミックスの確実な実現とエネルギー自給率の向上に取り組み、SDGs(持続可能な開発目標)にも貢献する。
  • 厳しい気候に耐え得る「土木・建築技術」や「農林水産技術」の研究開発、農地や牧地にとどまらず河川流域全体や市街地全体を再設計する「グリーンインフラ技術」に投資する。「老朽化した集合住宅の改築」も促進する。
  • 情報通信関連の消費電力量が急増している。「省電力化に向けた研究開発の促進」と、「安定的な電力供給体制の構築」に取り組む。
  • 約10年後から大量廃棄が発生する初期型太陽光パネルの安全な処分ルール策定(土壌汚染や感電防止対策)とリサイクル技術の開発に取り組む。
  • リチウムイオン電池の安全対策(発火防止)とリサイクル研究を支援する。
  • 2030年度温室効果ガス46%削減、2050年カーボンニュートラル実現に向け、企業や国民が挑戦しやすい環境をつくるため、2兆円基金、投資促進税制、規制改革など、あらゆる政策を総動員する。
  • カーボンニュートラルによる環境と経済の好循環実現のため、エネルギー効率の向上、安全が確認された原子力発電所の再稼働や自動車の電動化の推進、蓄電池、水素、SMR(小型モジュール炉)の地下立地、合成燃料等のカーボンリサイクル技術など、クリーン・エネルギーへの投資を積極的に後押しする。
  • 究極のクリーン・エネルギーである核融合(ウランとプルトニウムが不要で、高レベル放射性廃棄物が出ない高効率発電)開発を国を挙げて推進し、次世代の安定供給電源の柱として実用化を目指す。
  • 気候変動対策をはじめSDGs分野で国際社会を主導する。

H党

  • 原子力政策・東日本大震災の教訓を踏まえ、既設原発は市場原理の下でフェードアウトを目指し、国内発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を拡大させます。
  • 東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえ、原発の再稼働に係る国の責任を明確化するとともに、高レベル放射性廃棄物の最終処分等に係る必要な手続きを明確化するため、①原発の稼働に当たっての政治主導の明確化、②避難計画への規制委関与の法定、③原子力損害に係る国負担の明確化、④最終処分施設等の確実な整備のための手続き法制の整備を柱とする「原発改革推進法案」の制定を行います。
  • 廃炉技術の伝承と使用済み核燃料の有毒性低減のため、小型高速炉など次世代原子炉の研究を強化・継続します。
  • 東電福島第一原発事故の収束は国家プロジェクトとして国が一層の責任を持ち、東電任せにせず世界から技術と人材を集めて対応します。
  • 福島第一原発の敷地内に残存する原発処理水は、科学的根拠と国際ルールに則り海洋放出を決断します。その際、周辺地域の風評被害の払拭に最大限配慮をするとともに、協力自治体を募り福島県外での海洋放出を併せて検討します。
  • 除染廃棄物を30年以内に福島県外に撤去するという、実現が見通せない目標を見直し、科学的根拠を踏まえた上で実行可能な処理のロードマップを策定します。
  • 原発事故と甲状腺がん罹患は因果関係が認められなかった調査結果に鑑み、一斉検査のデメリットが大きい福島県民への甲状腺検査は希望者のみとし、過剰診断と風評による負の影響を無くします。
  • 海外から根強く残る原発周辺地域への懸念に対しては、地域や農作物等の安全性を多言語で全世界に繰り返し発信し、風評被害を根絶します。
  • 政策課題が複数の省庁にまたがるエネルギー政策については、エネルギー政策基本法に基づく基本計画の策定段階から省庁横断的な組織で議論を進めるなど、縦割り行政を脱して一貫性・戦略性のある政策決定を行います。
  • 電力自由化を一層推進させるため、送電系統への接続の平等、電力の市場取引の拡大、再生可能エネルギーやコジェネレーション(熱電併給)等の導入を促進します。
  • 発電会社が持っている設備能力(容量・kW)を売買する「容量市場」のあり方については、古い石炭火力発電所や既存原発の温存につながることから、抜本的な見直しを行います。
  • 経済成長を維持しながら、エネルギー消費による環境汚染が減少する社会を実現するため、グリーンエネルギーを推進し「脱炭素社会」の実現を目指します。
  • 地方経済の活性化には、風力発電、地熱、バイオマス等の自然エネルギー産業も有力な産業との観点から地方創生に取り組みます。
  • 風力発電、地熱発電の導入拡大の妨げとなっている自然公園法、温泉法等の規制緩和を早急に検討します。
  • 水素エネルギーは出力不安定な自然エネルギーの貯蔵手段および環境汚染の少ないクリーンエネルギーであることから、その利活用を積極的に推進します。
  • 海洋資源の開発と実用化を推進し、国産エネルギーの有力候補と位置付け、「資源大国日本」を目指します。
  • 宇宙資源の平和利用に向けた研究開発を進めるとともに、関連する法律を整備し、国際的な協定の策定を目指します。
  • 2050年カーボンニュートラル、2030年温室効果ガス46%削減目標に向けては、過度な負担が産業流出を招かないよう十分に配慮しつつ、新たな投資を呼び込み、目標達成に不可欠な技術革新と雇用創出を実現します。
  • 諸外国で議論が進むカーボンプライシングについては、炭素税だけでなく排出権取引など市場原理を活かした排出量規制のあり方を積極的に検討し、主体的に国際ルールの策定に携わります。
  • 深刻化する海洋汚染や温暖化の要因とされるプラスチックゴミの削減に向けて、分別や廃棄方法のあり方を適切に見直すなど、処理技術の現状や科学的エビデンスに基づいた対策を進めます。
  • 環境対策として開始されたレジ袋有料化の政策効果をよく検証し、さらなるプラスチック製品の有料義務化については、事業者や消費者に安易に負担が転嫁されないよう他の代替手段と合わせて慎重な検討を行います。
  • 建設発生土の不適正な処理を背景に大規模な崩落事故が多発していることを踏まえ、適正処理を推進するための法整備に取り組みます。

【アンケート】自分に合う政党はどれ?

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