日韓関係についての石破茂氏の発言に関して以下のような投稿があった。
「日本はかつて韓国から国を奪った。日本は韓国へ謝罪し、韓国と真の信頼関係を作る努力をしなければならない」という石破茂氏の発言に関する情報源が明記されておらず、出典が不明である。
上記の発言の文言をそのまま検索してみたところ、石破氏、「反日」背景に日韓併合「どうだったのか」 – 産経ニュース (sankei.com)という(信頼性があると判断できそうな)記事が見つかった。以下がその記事の全文である。
石破氏、「反日」背景に日韓併合「どうだったのか」 – 産経ニュース (sankei.com)
自民党の石破茂元幹事長は25日、韓国ソウルで開かれたフォーラムにオンラインで参加し、台湾が「親日」で韓国が「反日」とされることについて「台湾は併合したわけではない。朝鮮は独立国だった。それを併合することはどうだったのか」と述べ、明治43(1910)年の韓国併合が要因との認識を示した。
韓国併合について「国際法的に合法だったと認識している」とも強調した。その上で「隣国と仲良くできない国が多くの国と仲良くできるとは思わない。韓国と真の信頼関係を作るために努力しないといけない」と語った。
台湾は明治28年に日清戦争の講和条約「下関条約」で清国から日本に割譲された。
当該コメントと上記の記事には、「韓国と真の信頼関係を作る努力をしなければならない」という文言が共通している。
もし「石破氏の発言」の情報源が上記の産経新聞の記事であるならば、「日本はかつて韓国から国を奪った。日本は韓国へ謝罪し、韓国と真の信頼関係を作る努力をしなければならない」 という表現は不適切である。
なぜなら、石破氏の用いた「併合」という表現を「国を奪った」という感情的な意味合いの強い表現に言い換え、さらには、発言内に存在しない「日本は韓国へ謝罪し」という表現を石破氏の発言として紹介しているからである。
上記の記事によれば、そもそも石破氏は当時の日本の韓国併合について「国際法的に合法だったと認識している」と明言している。
ちなみに、2017年のものではあるが、【「慰安婦」日韓合意】韓国紙、自民・石破茂氏が「納得得るまで日本は謝罪を」と述べたと報道 本人は「謝罪」否定 – 産経ニュース (sankei.com)という記事において石破氏は、「日本は韓国に謝罪するしかない」という見解を自身の見解ではないとしている。
では、議論チェック対象の投稿を再び見てみよう。
ここでは、歴史認識の如何については触れないことにする(ここは筆者の歴史認識を披露する場ではないので)。
しかし、「日本は(韓国から国を)奪っていません」と言うのであれば、その根拠を提示するべきである。なぜそのように言えるのか?を証拠や推論を用いて説明しなければならない。公に発言する際や批判する際には、自身の発言についての説明責任を果たさなければならない。
同じく、「歴史歪曲」と言うのであれば、その根拠を提示するべきである。なぜ「歴史を歪曲した」と判断できるのか?を証拠や推論を用いて説明しなければならない。
また、「大好きな韓国」という表現は、極端な二分法に囚われている表現だ。
仮に石破氏が「日本はかつて韓国から国を奪った。日本は韓国へ謝罪し、韓国と真の信頼関係を作る努力をしなければならない」 と発言していたとしても、だからといって彼が「韓国が大好きである」ことにはならない。石破氏が韓国に対してどのような感情を抱いているのかは分からないが、そのように発言したからといって、韓国が大好きであるとは限らない。韓国が大好きでなくても、そのような発言は可能だ。両者の間に何ら矛盾はない。
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